【2026年版】「とりあえず毎年110万円贈与」の落とし穴。ルール変更から2年、今見直すべき生前対策とは(司法書士)
こんにちは。司法書士の新明です。
「子どもや孫に、少しずつ財産を移して相続税を減らしたい」 そう考えて、毎年110万円の非課税枠を利用した「暦年(れきねん)贈与」を行っている方は多いと思います。
しかし、「とりあえず毎年110万円ずつ渡しておけば安心」という常識は、すでに過去のものになっているのをご存知でしょうか?
法改正によって生前贈与のルールが厳しくなってから、2026年現在で2年が経ちました。制度の全貌が見えてきた今、「これまでのやり方のままだと、思ったような節税効果が出ない」「それどころか別のリスクを見落としていた」というケースが目立っています。
今回は、これからの時代に選ぶべき「本当に賢い生前対策」について分かりやすく解説します!
1. 覚えていますか?生前贈与の「7年ルール」
2024年の元日から、生前贈与のルールが大きく変わりました。それまでは、亡くなる前「3年以内」に贈与された財産は相続税の計算に引き戻される(=贈与がなかったものとして課税される)ルールでしたが、これが「7年以内」へと大幅に延長されたのです。
2026年の今、この「7年」の影響がじわじわと出始めています。
例えば、80歳から元気にコツコツ生前贈与を始めても、もし85歳で亡くなってしまった場合、過去5年分の贈与はすべて「相続税の対象」に逆戻りしてしまいます。
つまり、「かなり健康で、なおかつ若い時期から計画的に始めないと、生前贈与の節税メリットは活かしにくい時代」になったのです。
2. 税金よりも怖い!生前贈与がストップする「認知症リスク」
さらに、多くの方が盲点にしているのが「親の認知症リスク」です。
生前贈与は、あげる人と「もらう人」の双方の合意が必要な法律行為(契約)です。そのため、万が一贈与をする側の親御さんが認知症などで判断能力を失ってしまうと、その時点で生前贈与は法律上できなくなってしまいます。
税金のルールが「7年」に延びたことで、より長い期間、健康で判断能力を保ち続けなければならなくなりました。しかし、人間の健康寿命をコントロールすることはできません。
「節税のためにあと数年は贈与を続けたかったのに、親が認知症になって口座が凍結され、お金を動かせなくなった……」
実は、このような悲劇が今、全国で多発しています。
3. 2026年に注目されている新しい選択肢「家族信託」とは?
「じゃあ、これからはどうやって対策すればいいの?」という方に、今とても選ばれているのが「家族信託(かぞくしんたく)」という制度です。
家族信託とは、一言でいうと「元気なうちに、信頼できる家族にお金の管理や不動産の処分権限を託しておく仕組み」です。
生前贈与のように一度に財産(名義も所有権も)をすべて渡してしまうのではなく、「管理する権利」だけを子どもに託します。
✨ 家族信託の大きなメリット
- 認知症になっても資産が凍結されない: 親の判断能力が低下しても、託された子どもが親のために口座からお金を引き出したり、実家を売却したりできます。
- 自分のタイミングで財産を移せる: 「生活費は親の口座(信託口)から出し、残った分を時期を見て少しずつ家族に渡す」といった、柔軟な設計が可能です。
「7年加算」という税金の縛りや、「認知症による凍結」というリスクをまとめてカバーできるため、生前贈与に代わる(あるいは組み合わせる)対策として、非常に合理的な方法です。
司法書士からのアドバイス:わが家に最適な「生前対策」の組み合わせを
生前贈与が完全にダメになったわけではありません。若い世代への贈与や、教育資金の一括贈与など、今でも有効な方法はあります。
大切なのは、「贈与税・相続税の損得」だけでなく、「家族の体調や判断能力がどう変化するか」まで見据えて、オーダーメイドで対策を組み合わせることです。
当事務所では、お客様のご家族構成や資産の状況、そして「これからどう暮らしていきたいか」という想いを丁寧に伺った上で、生前贈与、遺言、家族信託などの中から最適なプランをご提案いたします。
「今のやり方のままで大丈夫かな?」と少しでも不安になった方は、ぜひ一度、お気軽に当事務所までご相談ください。
