あおば行政書士事務所

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【相続シリーズ①】
相続とは~概要と流れ~
【チェックリスト付き】

相続

「相続対策」という言葉が一般的になってきましたが、その対応はお済みでしょうか?


相続税対策については、以前からさまざまな方法が取られてきており、また、最近は「家族信託」も話題になってきましたが、そもそも相続そのものについての知識が乏しいという声が多いようです。


そこで、今回の記事では「相続」そのものについて分かりやすく解説をしていきます。

✓相続対策をしたい方の悩み

  • 相続とは何をするのか?分かりやすく解説して欲しい
  • 相続の用語の意味を知りたい
  • 相続に期限はあるのか?

こういった疑問に答えていきます。

✓本記事の内容

  • 相続の流れ
  • 相続の概要
  • 相続の期限

この記事を書いている私は、行政書士として民亊法務や企業法務について10年以上の実績があります(仕事柄、相続に詳しい司法書士、税理士や弁護士との協業も行っています)。
一般企業でも20年以上勤務しており、平社員から執行役員までのさまざまな経験があります。そのため、法律に沿った内容だけに留まらず、依頼を受けたクライアントの立場に立った業務を実施しています。
こういった私が、解説していきます。

相続の流れ

相続の全体像をつかむためには、まず、相続の流れを知ることが必要です。

  1. 被相続人の死亡(相続の開始)
  2. 死後手続①
  3. 葬儀・埋葬
  4. 遺言書の確認
  5. 相続人の調査・確定
  6. 相続財産の調査・確定
  7. 相続放棄・限定承認
  8. 遺産分割協議
  9. 遺産分割協議書の作成
  10. 死後手続②
  11. 相続税の申告・納付

相続の概要

前項で見た相続の流れの各々について、簡単に解説していきます。

1)被相続人の死亡

被相続人の死亡により、相続が開始されます。

2)3)死後手続①と葬儀

まずは死亡届の提出です(葬儀社などが代行する場合が多い)。そして、葬儀、埋葬と進みます(最近は、葬儀後即日納骨というケースも増加中)。この期間に、年金や保険の事務手続(死亡の届出や保険金の請求等)を行います。

4)遺言書の確認

埋葬が済んだら、いよいよ具体的な相続の開始です。まずは、遺言書があるかどうか確認します。複数見つかった場合は、一番新しい日付のものが該当します。公正証書遺言以外の場合は、家庭裁判所で検認を受けます(このあたりは別の記事で詳しく解説します)。

5)相続人の調査・確定

次に、誰が遺産を相続するのか、法定相続人を調べて全員に連絡を取り、確定します。この時、遺言書に法定相続人以外の相続人が指定されていたら、忘れずに連絡します(愛人だから、離婚した元配偶者だから連絡したくないということは不可)。ちなみに、離婚した元配偶者の子は、被相続人の実子であった場合は、法定相続人となります(相続人本人の意思は関係ありません)。

6)相続財産の調査・確定

相続財産(遺産)の全体を調査します。現預金、有価証券、貴金属や不動産などのプラスの遺産だけでなく、借金・ローン、(連帯)保証債務、未納の税金、未払い代金など、マイナスの遺産も全て調べて確定し、財産目録を作成します(実際の作成は次項の相続放棄・限定承認の後に行います。書式は任意ですが、遺産分割協議の際に必要となるので、必ず文書化します)。

7)相続放棄・限定承認

相続財産を調査確定したものについて、プラスの遺産とマイナスの遺産を合算した時に、マイナスになる場合またはどちらか不明な場合は、家庭裁判所に相続放棄または限定承認を申請することができます(しなくても構いません)。

ちなみに、「相続放棄」という言葉の解釈には2つの意味があり、本来の意味は特定の相続人(全員を含む)が「相続しないこと」(=相続人とはならないこと)ですが、実際には「特定の相続財産を相続しない」ことを「相続放棄」と思い込んでしまっており、どちらかと言うと後者の意味の方が浸透しているようです。ここを間違えると大変なことになりますので、相続放棄の際は注意が必要です(別の記事で詳しく解説します)。

8)遺産分割協議

完全に確定した相続財産について、「相続人全員」で遺産分割協議を行います。一堂に会する必要はありませんが、全員の同意がなければ(反対する人がいれば)協議はまとまりません。前妻の子、後妻、遺言に相続人として指定された愛人などが法定相続人になっていれば、必ず「全員」の中に含めなければなりません。

遺産分割協議が整わなかった場合、家庭裁判所で調停が行われますが、そこでも解決しなければ、訴訟となります。遺産が訴訟になった場合は、弁護士費用など裁判にかかる費用が発生し、また、結論が出るまで長い期間がかかりますので、できるだけ揉めないようにしたいものです。

9)遺産分割協議書の作成

遺産分割協議が無事に終わったら、その結果を遺産分割協議書として明文化します。士業に依頼せず、自分で作成することも可能ですが、ここに齟齬(ミス)があった場合、名義変更など遺産分割の作業がうまくいきませんので、注意が必要です。

10)死後手続②

遺産分割協議書に基づき、実際に遺産分割を行います。被相続人の預金解約と相続人への預金移動(現金引き渡し)、不動産などの名義変更登記などを行います。被相続人が賃貸物件を所有していた場合は、管理を依頼している不動産業者があればそちらへ、自己管理であれば、賃借人に対しても賃貸人が変更になった旨連絡する必要があります。

細かいことですが、使わなくなった電気・水道・ガス・電話・インターネット・クレジットカード・その他のサービスについても忘れずに解約の手続が必要です。遺品の整理や住居の処分(空き家の管理)もどのように行うか決めなければなりません。

相続財産に農地や山林が含まれている場合は、さらに作業が増えます。実家が遠隔地にあって頻繁に行けない、仕事が忙しく細かい作業にまで手が回らないなどの理由で、死後事務を予め士業などに委任することも可能です(死後事務委任契約)。

11)相続税の申告・納付

最後に、相続税の計算をします。まず、遺産全体を合算し(非課税分・マイナス分も含む)、その合計額から法律で定められた控除額を引いて、課税遺産総額を求めます。そして遺産分割協議で決めた分割方法で、各相続人の相続金額と相続税額を計算します。

各相続人の相続税額の合計が相続税の総額となり、税務署に申告・納付します。遺産や分割方法が単純であれば、自分で行うこともできますが、各種の特例などもあり、期限も相続開始から10か月までと限られていますので、税理士などに依頼してしまうケースも多いです。

相続の期限

相続にはさまざまな期限が決められています。

1)死亡届(7日以内)

被相続人が死亡したら、医師から死亡診断書を受け取り、市区町村役場に速やかに死亡届を提出します。その際に埋火葬許可申請し、許可証の交付を受けます。これがないと葬儀が行えませんが、基本的に葬儀会社が代行するケースがほとんどです。

2)死後手続①(14日以内)

役場で健康保険・介護保険の資格喪失の手続、年金事務所などで年金の受給停止の届出を行います。

3)相続放棄・限定承認(3か月以内)

相続放棄・限定承認は3か月以内と定められていますので、遺言書の確認と遺産の調査・確定は速やかに行いましょう。尚、3か月以内であれば、家庭裁判所に対して、「相続の承認または放棄の期間の伸長」の申請ができます。

4)相続税の申告・納付(10か月以内)

前述した通り、相続税額を計算して、税務署に申告・納付するのは、被相続人の死亡から10か月以内に行わなければなりません。

尚、相続による土地建物などの名義変更登記には期限がありません。死亡による変更登記が法律で義務付けられていないからです。そのため、不思議な話ですが、すでに故人となり戸籍が存在しない人の所有する不動産に対しても固定資産税が故人に対して課税され、それを親族などが支払っている限り、そのままの状態がずっと続いているという、おかしな状態になります。

さらに、固定資産税を支払いたくないために、相続登記をせずに、固定資産税も支払わない、いわゆる「所有者不明」土地が年々増加しており、合計すると既に2016年の段階で九州全体の面積より広い410万ヘクタールに及んでいます。

このため、政府は2021年の通常国会で、民法と不動産登記法の改正案を国会に提出し、これらの問題を解決するために、相続期限の義務を法制化する予定です。その内容(一部)は下記の通りです。

  • 遺産分割協議の期限設定(相続開始から10年経過すると法定相続分で確定)
  • 土地の相続登記の義務化(一定期間内に相続登記しないと罰則)
  • 土地所有権の放棄制度(土地の所有権放棄を可能に、ただし管理料は相続人が負担)
  • 土地に特化した財産管理制度(所有者不明土地を第三者が管理可能に)

既にある期限の問題も合わせると、今後、相続の期限についてかなり厳しい状況になるのは間違いありません。財産もそれほど多くなく、相続人も限られている単純な相続であれば問題ありませんが、財産が多くて複雑、相続人が多い、分割内容で揉める可能性が高い、といった場合や、期限を守るという観点からも、専門家の活用も検討してみてはいかがでしょうか。

また、相続対策は何もしなくても問題ありませんが、実施することで(決して違法であったり倫理的に問題のある方法ではなく)、しなくてもよい相続税の支払をすることもなくなり、せっかくの財産を少しでも多く親族に残すことが可能になり、また、予め準備をしておくことで、相続時の揉め事を防止する効果もあります。したがって、是非相続対策を行うことをおススメします。

まずは、現状を把握するために、自己診断のための相続対策チェックリストを用意しました。コチラから無料でダウンロードできます(PC推奨)。

このブログでは、相続をはじめとしたさまざまな民亊法務・企業法務についての記事を掲載していますので、そちらも是非読んでみてください(相続は特にシリーズ化していきます:今回は1回目)。記事の内容だけでなく、ご質問やご相談等がありましたら、コチラからお気軽にご連絡ください。ご質問ご相談は無料で対応しています。